〒669-1133 兵庫県西宮市東山台3丁目4番地11(JR福知山線西宮名塩駅から徒歩10分 駐車場:駅前にあり)
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委託者が財産の管理を受託者に任せ、その財産を受託者が管理し、その財産から発生した利益を受益者が得る仕組みになっています。家族信託では親のために子が財産を管理し、利益は所有者である親が得るなど、委託者と受益者が同じ人になることがほとんどです。
高齢化と認知症の問題があります。厚生労働省の「令和2年介護保険事業状況報告」によると、要介護認定者数は、65歳から74歳で全体の1割強ですが、75歳以上になると9割弱と急増しています。年齢が上がるにつれて認知症になる確率も急激に上昇します。認知症が悪化すると、銀行の口座などは凍結されてしまい、子どもでも親のお金を下ろせなくなります。そうすると、親の介護に手をあげた子どもが金銭的な負担も強いられることにつながります。このことから、少なくとも70歳頃までに、認知症に備えた対策が必要といえます。「自分の財産のことで、子どもに迷惑はかけられない」。そういったニーズから、家族の高年齢化に伴う様々なトラブルに柔軟に対応できる家族信託が広まってきています。
家族信託の背景には、親の認知症による財産凍結の問題があります。親が認知症などになり、財産を管理することが難しくなると、預金口座は凍結され、お金を下ろすことができなくなります。また、自宅などの不動産を売ることもできません。認知症が悪化した後にも利用できる対策として成年後見制度がありますが、親族が後見人に選ばれるとは限らないこと、財産の管理運用処分が制限をされることがあるなど、利用しづらい面があります。財産の名義を子どもに変えられること、広い裁量を与えられることが家族信託の大きなメリットです。
家族信託のメリットの一つとして、遺言効果があります。これは、家族信託契約の中に、次に財産権(財産から利益を受ける権利)を継がせる人をあらかじめ定めておくことによって、その内容が法律上有効となり、遺言を残すことと同様の効果を得ることができます。また、次の後継者(2番目)だけでなく、次の次の後継者(3番目)以降を決めることもできます。これは遺言にはなく、家族信託でのみできることです。
家族信託が有効なケースの一つとして、親から受け継いだ収益不動産が兄弟での共有になっているケースがあります。例えば、収益不動産を兄弟ABCの3人で、それぞれ3分の1ずつ所有している場合です。これからも、不動産を第三者に貸すことで家賃収入を得たいと考えています。しかし、A、B、Cのうち、1人でも認知症になってしまい契約能力がなくなってしまうと、収益不動産の全体が凍結してしまう危険があります。新しい入居者との契約をする場合や、古くなってきたので大規模な修繕を行う場合には、所有者全員の意思が必要になるためです。そのため、高齢者同士の共有はとても危険です。3人で共有の場合にはリスクが3倍になると言えます。そこで、家族信託を活用しBとCの持ち分をAに信託をすることで、BとCの契約能力喪失の影響を受けずに、Aが1人で収益不動産の経営をすることができます。そして得た家賃収入は、全員が得ることができます。
4.成年後見制度より柔軟な取り決めもできる
家族信託では、成年後見制度よりも柔軟な財産管理ができます。成年後見制度では、本人の財産を守ることに重点が置かれます。言い換えれば、本人の財産を減らさないことが重要視されるため、それに反するような財産の管理をすることはできません。例えば、収益不動産の経営をしている大家さんや会社のオーナー兼社長が認知症になった場合、成年後見制度だと、本来であれば経営に必要である将来に向けた投資をすることができません。本人の財産を減らさないために、将来儲かるかどうかわからない投資を実行することはできず、攻めの経営が制限されます。この点、家族信託の場合には、子どもに大きな裁量を与えることができます。元の所有者(委託者)が財産管理の方向性を決めて、その方向性に沿って、子ども側は大きな裁量をもって柔軟に財産の管理運用処分をすることができます。そのため、上述のような、投資するなどの攻めの経営をすることも可能になります。一方で、家族信託は、受託者である子どもが大きな権限を持つことになるので、子どものことを信頼できない場合には、信託をすべきではないと言えるでしょう。
家族信託の遺言効果のもう一つの側面ですが、家族信託契約により承継者を決めておくことで、相続が発生した場合の遺産分割協議が不要になります。これは大きなメリットです。遺産分割協議では、相続人全員で話し合い、誰が何を相続するのかを決めなくてはいけません。しかし、相続人の間で意向が揃わなかったり、相続人の1人が認知症等により話し合いをすることができない場合には、相続の手続きはスムーズにできなくなります。渡す側の親が財産の承継についてあらかじめ決めておくことは、認知症や相続争いによる遺産の凍結を防ぐための、最も有効な方法であると言えるのです。
「受託者である子どもが破産をしてしまった場合に、信託した財産が差し押さえられるのか?」という質問を受けることがあります。答えは、違います。信託した財産は、受託者である子どものものではなく、あくまで財産権を持っている親のものです。そのため、子どもの債権者は差し押さえができないルールになっています。これを「倒産隔離機能」と呼んでいます。ただし、信託をしておけば受益者である父親の債権者から信託した財産を守れる、と聞くことがありますが、信託された財産の代わりに「信託受益権」という権利を受益者の父親は持ちますので、受益者である父親が強制執行などを受けた場合には、「信託受益権」が差し押さえられ、信託財産にも影響が及びます。
家族信託は万能ではありません。家族信託には身上監護権はありません。これは、認知症になった親が施設に入居する場合、受託者である子どもが親の代理人として入居契約をすることができないということです。家族信託はあくまでも、財産管理のための制度です。入居した施設のお金を信託された財産の中から支払うことはできますが、親の代理人として入居契約をする権限はありません。そのため、身上監護まで考えているのであれば、任意後見契約を結ぶことをおすすめします。任意後見契約とは、子どもや頼れる人をあらかじめ後見人に指定をしておく契約になります。
2.財産の管理を誰もやりたがらない場合がある
家族信託の受託者を誰もやりたがらない場合があります。そうすると家族信託自体ができません。建物を目的とした家族信託の場合には、受託者には建物について管理する義務があります。もしも老朽化して壊れて通行人などに怪我をさせてしまった場合には、その損害を賠償する責任が生じます。信託をされた財産以上の損害だった場合には、自身の財産からも賠償しなければなりません。また、毎年支払う必要がある固定資産税の納税通知書も受託者に届くだけでなく、毎年、受益者である父親に向けて信託された財産の状況を報告する手間も発生します。そういう意味で受託者の責任は重いものになるため、引き受けてくれる受託者が見つからないということも起こりうるのです。
3.親族間の不公平感を生む恐れがある
2人いる子どものうち、1人を受託者とした場合に、他の子どもに何も知らせず勝手に進めてしまうと、知らされなかった子どもから文句が出てくることもあります。受託者である子どもは、信託された財産に対してとても大きな権限を持つため、財産の収支等がブラックボックス化してしまっている場合に、お金を使い込んでいるのでないかという疑いが生まれ、家族間の争いに発展することがあります。それを防ぐためには、あらかじめ家族信託を進める前に家族会議をしておくことが重要です。
4.祖父母や両親に契約の同意を取りにくい
家族信託の主役は祖父母または両親です。そのため受託者候補の子どもの意向だけで進めることはできません。祖父母または両親が家族信託について理解し、進める希望をもらわない限りは進められません。ここで、よく止まってしまう二つの事例を紹介します。一つ目は、わかりづらい制度であることです。家族信託は、「贈与」や「売買」に比べると、日常、頻繁に出てくる契約ではありません。そのため、「よくわからないし、面倒くさそうだからやらない」と言われてしまい、同意が取れないということがあります。また、投資信託と誤解をされてしまい、前に損をしたからやりたくないと言われることもあります。二つ目は、財産が受託者の名義に変わることです。特に不動産の場合に、不動産登記の名義が受託者である子どもに変わるため、生きてる間に不動産をとられてしまうのではないかという不安が生まれ、同意が取れないこともあります。
5.直接的な節税対策にはならない
家族信託それ自体には、相続税を節税する効果はありません。不動産等の名義は子どもに変わりますが、財産権(受益権)は親の元に残るためです。信託したからといって財産の評価を下げることもできません。
親に相続が発生したときには、財産権(受益権)は信託契約で決めた人に承継され、その時に相続税と同様の税額を納付する必要があります。
家族信託契約によって決めた後継者に財産権(受益権)を承継する際に、遺留分を持つ相続人がいる場合、遺留分相当額のお金を請求してくる可能性があります。
2.信託できない財産を対象にしてしまう
家族信託できない財産があります。代表的なものは「農地」や「預貯金口座」です。これらの財産は、たとえ信託契約書に記載しても効果が生じません。「預貯金口座」は銀行との契約で譲渡禁止特約という約定があり、勝手に名義変更はできません。親と家族信託契約を結び、その契約書を銀行に持っていって「家族信託契約をしたから親の口座の預金を下ろしたい」と言っても銀行側は対応してくれません。ただし、預貯金口座にある金銭は信託できます。この場合、信託契約を結んだ後に、親自身が口座内の金銭を、受託者である子ども名義の信託口口座(家族信託用の口座)に送金手続きをする必要があります。
3.不動産の家族信託で高額な税金が発生
4.「1年ルール」で強制終了してしまう
5.認知症が進んで信託契約ができなくなる
6.自分たちで契約書を作成してトラブルになる
7.遺留分トラブルが起きる
8.損益通算ができなくなる
失敗を回避する1番の方法は、家族信託に長けている専門家を見つけることです。そうすれば、家族信託契約書の不備からの失敗、家族との情報共有の不備からの失敗や税務面での失敗などを回避することができます。
「認知症が進んで信託契約ができなくなる」で説明したように、親に契約する能力がある間しか家族信託は契約できません。したがって、親が元気なうちに、なるべく早めに行動する必要があります。なお、認知症の程度が軽度であっても、判断能力が十分にあると認定されれば、家族信託を契約できる可能性はあります。とはいえ、後にその家族信託の有効性を巡ってトラブルになる恐れがあります。成年後見制度を利用した方がいいというケースもありえますので、専門家と相談して下さい。
3.家族会議を開き情報を共有する
家族信託を進めるときに、家族会議を開くことも効果的です。親の財産が絡むことなので、知らされていない中で進んでいると感情面での不安が生まれ、トラブルにつながります。そのため、家族会議を開催し、全員の合意を得て、進めていくことがベターです。家族会議では、「家族信託の目的や仕組み」「相続についての考え」を共有します。重要なことは、「親の言葉」で話してもらうことです。子供の1人から、他の兄弟に伝えるよりも、「親の言葉」で伝えた方が、同意が得られやすいです。
4.家族信託以外の相続対策も検討を
親の認知症対策として考えられている家族信託ですが、家族信託だけでは対応できないケースもあります。そのような場合に備えて、遺言や任意後見契約、生命保険など他の方法を組み合わせることもあります。また、ご家庭の状況や目的、資産によっては家族信託が最適でないこともあります。例えば、数百万円程の金銭について子供に管理を任せたい場合には、家族信託ではなく、生前贈与を活用する選択肢もあります。
どの方法がベターなのかを判断することは難しいので、専門家にアドバイスを受けてすすめることがいいでしょう。
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委託者と受託者で信託契約の内容について取り決めをして、契約書を取り交わします。契約書に記載する内容はそれぞれ自由に決めて問題ありませんが、主に以下のような事項について取り決めることになります。
信託財産を管理するためには、信託財産管理用の銀行口座を開設する必要があります。受託者には、自分の財産と信託財産を分別して管理する義務があるためです。受託者自身の生活用口座と分けて管理する方が、あとあと問題になりにくい点もメリットです。なお、信託銀行や銀行、信用金庫の中には、家族信託専用の口座を開設できるところもあります。
信託財産が不動産の場合、信託財産であることを公示するために、名義人を委託者から受託者に変更する登記を行う必要があります。登記は法務局で行いますが、個人で対応するのが難しい場合には、司法書士に相談することをおすすめします。
ここまでの手続きがすべて終われば、信託財産を管理、運用することができるようになります。それと同時に、信託財産を管理する義務も生じます。
父の認知症が心配になり、家族信託を利用しました。以前は財産管理や将来の相続をどうするか不安ばかりでしたが、信託契約を結んだことで安心感が得られました。自分が受託者となり、父の財産を適切に管理できる体制が整い、銀行手続きや不動産管理もスムーズに進められています。父も「自分の意思を生かせる仕組みだ」と納得しており、家族全員が前向きに話し合えるようになりました。複雑に思えた制度ですが、専門家に相談したことで安心して導入できました。
いかがでしょうか。
このように、当事務所の家族信託サービスなら、適切な財産管理が実現できます。
家族信託に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。
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