乱立する相続の資格

それぞれの資格の概要

1.相続・事業承継を扱う国家資格

国家資格を保有すると、法律で義務付けられた独占業務に携わることができます(一部の資格には独占業務はありません)。資格取得の難易度は高く、勉強時間も多く取られ、しっかりとした試験対策も必要になります。

 

1-1.税理士

「相続税」全般を扱うことができる資格が「税理士」です。相続税の計算や、申告書の作成、税務署対応などを行います。

相続税についての具体的な相談や、申告書の作成は税理士の独占業務であり、税理士しか行うことができません。また、事業承継の際にも税金面を中心にアドバイスを行えます。

難易度は国家資格の中でも相当高く、資格取得まで5年~10年を要することも珍しくありません。

1-2.弁護士

相続トラブルなどを解決するために、顧客の法律相談や弁護をすることができる資格が「弁護士」です。司法試験に合格すると、司法修習を経て弁護士・検事・裁判官いずれかになることができます。

弁護士は、遺産分割時には法律相談に乗り、依頼者以外の相続人と交渉ができ、争いが調停・訴訟に発展すると、依頼者の代理人となり進めることができます。

法律相談や依頼者の法律行為の代理ができるのは弁護士の独占業務であり、弁護士しか行うことができません。事業承継においても、依頼者を代理して各種の手続きを進めることができます。

司法試験を受験するためには、法科大学院を修了するか予備試験に合格しなければならず、5年間に5回までという受験回数制限があり、制限内に合格できない人もいます(ただし、もう一度法科大学院を出るか、予備試験に合格すれば、再度受験が可能になります)。

そのため、司法試験は、国家資格の中でも最も難しい試験の1つとされています。

 

1-3.司法書士

不動産の「名義変更」などの登記手続きを、専門的に進められる資格が「司法書士」です。被相続人から相続人への所有権移転登記いわゆる「相続登記」に関して法務局に提出する資料等を作成・申請できます。

相続登記の依頼を受けるのは弁護士でも可能ですが、実務の専門性から、実質、司法書士の独占業務になっています。

司法書士試験は難しい資格として知られており、毎年の合格者は3%前後と言われています。

 

1-4.行政書士

行政書士は、行政に提出する書類の作成代行や、関連する手続きの代理を主な業務とする資格であり、相続では遺言書の作成サポートや、財産目録・遺産分割協議書の作成、銀行口座の相続手続きなどをすることができます。

行政書士は相続に関する多くのサポート業務を行うことができますが、訴訟や税務・登記等の専門的な手続きについては弁護士や税理士・司法書士に依頼する必要があります。

合格率は10%程度で、それなりに高い難易度です。

 

1-5.不動産鑑定士

不動産の価値を正しく評価・鑑定する資格が「不動産鑑定士」です。不動産鑑定は不動産鑑定士の独占業務です。

相続では、遺産に不動産が含まれていると、相続人間にその評価について争いがあることも多く、争う相続人が互いに不動産鑑定士に依頼することもあれば、相続トラブルが家庭裁判所での遺産分割調停や審判になれば、裁判所が選任した不動産鑑定士に鑑定を命じる こともあります。

難しい試験の1つとして知られており、合格者は毎年100名程度と少ないです。主に不動産関係の仕事に従事する人が取得しています。

 

1-6.中小企業診断士

中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務であり、事業承継業務では、会社経営の専門的な指導ができます。

中小企業診断士は独占業務ではありませんが、経営コンサルタントの唯一の資格であり、会社経営に関して適切なアドバイスができます。

試験範囲が非常に広く、資格取得は難しいことが特徴です。

 

1-7.ファイナンシャルプランニング技能試験(FP)

「相続」についての一般的なアドバイスができる資格が「ファイナンシャルプランニング技能試験(FP)」です。

FPは独占業務ではなく、個別具体的なアドバイスはできませんが、相続に関する一般的な回答が行えます。

1級~3級まで用意されており、勉強次第で誰でも取得も可能です。相続だけでなく、年金・資産運用・保険・不動産運営を含めた総合的な観点からアドバイスができます。

 

2.相続・事業承継を扱う民間資格

民間企業が実施する相続・事業承継に関する資格が「民間資格」です。一般的に知名度が低く、独占して相続業務を行えません。

 

2-1.相続士

相続全般についての的確なアドバイスを行うことができる資格が「相続士」です。

税理士や司法書士などの専門家とネットワークを組み、相続人の悩みを解決していきます。資格取得の難易度は非常に低いです

 

2-2.相続診断士

相続が争族にならないよう、相続を笑顔で迎える手助けをする資格が「相続診断士」です。

相続に関する正しい知識を身に付け、一般の人へ啓蒙することを目的としています。

一般的に難易度が「中の下」とされており、合格率が約90%と高いのが特徴です。

 

2-3.遺言執行士

専門家と連携し、遺言書の作成段階から相続税の節税の方法やトラブルを回避するためのアドバイスを提供できる資格が、「遺言執行士」です。

2015年に誕生した、比較的にまだ新しい資格です。合格率は概ね70%と高いです。

 

2-4.事業承継士

事業承継に関する様々な問題を解決するためのサポートを提供するのが「事業承継士」です。

事業承継に関する専門的な知識の検証を図れる資格です。資格取得のための受講料等が30万円を超えるため、事業承継に興味がある人が取得しています。受講資格は事業承継協会が認定した国家資格を保有している人(税理士・公認会計士・弁護士・司法書士など)、もしくは同等の知識を保有している人に限定されています。試験勉強時間は概ね30~50時間です。

 

2-5.相続カウンセラー

「相続全般」のカウンセリングを行う資格が「相続カウンセラー」です。相続人の悩みをくみ取り、税理士や司法書士などの専門家に橋渡しをします。

独占業を営む人が、相続分野に手を出す際に保有することがあります。

合格率は公表されていませんが、一般に容易とされています。

 

2-6.終活カウンセラー

「終活」のためのアドバイスを行う資格が「終活カウンセラー」です。

相続だけでなく遺言や保険、介護、墓などのトータルアドバイスを実施します。

初級の合格率は一日講座受講で95%、上級でも80%以上と容易です。一度取得すれば年会費・更新料もなく、ずっと名乗れます。

 

2-7.相続アドバイザー

相続アドバイザーは、銀行業務検定協会が主催する資格で、相続に関する専門的な知識を持ち、相続手続きや相続税の計算、遺言書の作成などに関するアドバイスを行う資格です。

この資格は、金融機関において相続に関する実務やアドバイスを行うことを目的としています。相続アドバイザー3級の難易度は、銀行業務検定の中でもマイナーな分類でかつ難易度はそこまで高くなく40%程度です。

 

2-8.事業承継アドバイザー

金融」の的確なアドバイスを行える資格が「事業承継アドバイザー」です。

事業承継に関する一般的な内容に加え、株式買い取り資金の調達方法や金融機関の融資制度などについて、基礎的な知識を持って助言できるようになります。2016年から新設された試験で、試験を受ける前に、専用の講座を受けて勉強することができます。講座期間は3カ月で、講座をきちんと受講すれば、難易度はそれほど高くなく約55%といわれています。

相続・事業承継を扱う資格は、国家資格と民間資格それぞれ多種多様です。

国家資格は、それ自体を業務の根拠にして独立・開業することができるものが多いのに対し、民間資格は、本業にプラスアルファの知識や信用を付加する目的で取得されることが多いのが特徴です。

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