〒669-1133 兵庫県西宮市東山台3丁目4番地11(JR福知山線西宮名塩駅から徒歩10分 駐車場:駅前にあり)
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相続時精算課税制度とは、原則「60歳以上の父母(もしくは祖父母)」から「18歳以上の子(もしくは孫)」に対して、贈与をした際に選択できる贈与税の制度です。
(贈与が令和4年3月31日以前の場合は、贈与を受ける子や孫は「20歳以上」となります。)
相続時精算課税制度を選択すれば最大2,500万円の特別控除を適用することができ、2,500万円を超過した贈与財産については贈与税の税率が一律20%となります(贈与財産の種類に制限はありません)。
ただし、相続時精算課税制度を選択した贈与者から贈与を受けた財産の価額については、贈与者の相続発生時(死亡時)の相続財産の価額に持ち戻して、相続税額の計算を行います。
このように、贈与税の計算の際に最大2,500万円までは贈与税の対象から控除されるものの、贈与財産の価額を相続財産の価額に持ち戻した総額に対して相続税を課税するため、「相続時精算課税制度」と呼ばれているのです。
贈与者:贈与した年の1月1日に60歳以上であること
受贈者:贈与してもらった年の1月1日に18歳以上である子供か孫
養子縁組した子や孫が贈与を受けるときは、養子縁組後の贈与のみ相続時精算課税制度を適用できます。
なお、原則として60歳以上の贈与者からの贈与が対象ですが、令和8年12月31日までに住宅取得等資金(新築、増改築の資金も含む)の贈与があった場合は、贈与者が贈与した年の1月1日に60歳未満であっても相続時精算課税制度を選択できます。
また、「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用に係る非上場株式等の贈与があった場合や、「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用に係る事業用資産の贈与があった場合は、贈与者が贈与した年の1月1日に60歳以上であれば、子や孫以外の人でも相続時精算課税制度を選択することができます。
(課税価格―基礎控除額―特別控除額)×税率20%=贈与税額
※課税価格=年間の贈与合計額
※基礎控除額=年間110万円
※特別控除額=限度額2,500万円(2年目以降は残額)
事例
令和6年以降に65歳の父から30歳の息子に相続時精算課税制度を適用して「3,000万円の贈与」を行ったと仮定します。贈与税の計算式は、(課税価格3,000万円-基礎控除額110万円-特別控除額2,500万円)×税率20%となるため、贈与税額は78万円となります。
年間110万円の基礎控除額は、令和6年1月1日以降に贈与した財産が対象です。令和5年12月31日以前に贈与した財産から控除することはできません。
相続時精算課税制度の最大のメリットは、最大2,500万円の特別控除があるということです。
この特別控除額は、贈与者が死亡するまでに贈与した「累計の贈与額」に適用できます。そのため、一度に2,500万円の贈与をした場合にも適用できますし、年をまたいで複数回にわたって合計2,500万円の贈与をした場合にも適用できます。
以下は、相続時精算課税制度と暦年課税制度の比較表ですが、相続時精算課税制度には贈与税の節税効果があることがお分かりいただけるかと思います。
令和6年1月1日以降の贈与では、相続時精算課税制度を選択した場合でも110万円の基礎控除を適用できます。この場合は、基礎控除110万円を適用してから特別控除2,500万円を適用します。
相続時精算課税制度を適用した贈与財産の価額が合計2,500万円を超えた場合、超過分の財産については贈与税の税率が一律で20%となります。 (令和6年以降は、贈与財産から基礎控除110万円を控除した後の金額が合計2,500万円を超えた場合となります。)
超過分の財産の贈与税の税率は、暦年課税の税率と比べるとはるかに低くなります。
例えば、暦年課税で一度に3,000万円を贈与すれば税率は45%(※)ですが、相続時精算課税制度を適用した場合の税率は20%(一律)となり、その結果、贈与税額に900万円以上の差が出ます。(※)直系尊属から贈与を受けた場合の特例税率(速算表:税率45%・控除額265万円)、贈与額に対する贈与税の実効税率は34.5%(10,355千円/30,000千円)となります。
相続時精算課税制度が創設された背景の一つに、父母や祖父母の財産を早期に子や孫に移転し、有効活用を図ることにより、消費を促進し経済を活性化させる目的があります。
相続時精算課税制度を選択すれば、将来の相続発生時に子や孫に渡るべき財産を、子や孫がまとまった財産を必要としているタイミングで有効に活用できるようになります。
相続時精算課税制度を選択して賃貸マンションなどの収益物件を贈与した場合、相続税対策になる可能性があります。
この理由は、相続時精算課税制度を選択して収益物件を贈与した場合、贈与者の相続時に相続税の課税対象となるのは贈与した収益物件そのものだけで、贈与をした後の収益(賃料収入)は贈与を受けた者の財産となり、贈与者の相続財産(現預金)とならないためです。
父母や祖父母が収益物件を所有したまま相続が発生した場合、賃料収入もまた父母や祖父母の財産となるため、相続発生時には「収益物件(不動産)+賃料収入(現預金)」が相続財産として相続税の課税対象になります。
相続時精算課税制度により贈与を受けた財産の価額は、相続発生時に相続財産の価額に加算して相続税額を計算します。すでに支払った贈与税額がある場合は、相続税額から控除されます。
相続財産への持ち戻し計算では、贈与した時の時価により評価されます。例えば有価証券を時価100円のときに贈与した場合、贈与者の相続発生時に時価10万円に高騰していたとしても、逆に1円に急落していたとしても、贈与時の時価100円で評価されるというルールです。
この時価の差を利用して、値上がりが予想される財産を贈与しておけば、相続税の対象となる財産の評価額を減らして相続税を抑えることができます。
ただし、贈与された財産が相続発生時に値下がりしていた場合は、逆に相続税が高く計算されます。
なお、相続時精算課税制度により贈与した一定の土地や建物が、令和6年以降に災害によって相当の被害を受けた場合において、税務署長の承認を受けたときは、贈与した時の評価額から、災害により被害を受けた部分に対応するものとして計算した被災価額を控除することができます。
生前贈与を行うにあたり、相続時精算課税制度を利用すると、贈与者の相続発生時における親族間での相続争いを防げる可能性があります。 特に不動産などは遺産分割しづらいため、相続人同士で「どの財産をどのように分割させるのか」というトラブルの元になりがちです。
「相続させたい財産」を「相続させたい相手」に生前贈与しておくことで、遺された相続人同士の相続争いを防ぐことができます。ただし、特定の親族へ偏った生前贈与を行うと、他の相続人が不満を抱き、相続争いが起きる可能性もありますので配慮が必要です。
「相続時精算課税制度選択届出書」を税務署に提出すると、同じ贈与者からの贈与は、暦年課税に戻すことができなくなります。
ただし、暦年課税が使えなくなるのは「制度を選択した贈与者からの贈与のみ」となるので、他の贈与者からの贈与は引き続き暦年課税を利用できます。
「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」のどちらを適用した方が有利なのか、届出書を提出する前によく考えましょう。
相続時精算課税制度を選択する際には、贈与税の申告期限内に「相続時精算課税制度選択届出書」などの必要書類を税務署に提出して申告する義務があります。
これは贈与財産の金額の多寡にかかわらず必須となるため、申告や届出の手間がかかるといえるでしょう。
相続時精算課税制度を選択した場合は、贈与者の相続発生時に相続税額を計算する際、贈与税の基礎控除額110万円を引いた後の贈与財産の価額を相続財産の価額に持ち戻す必要があります。
相続時精算課税制度を選択した贈与財産の価額(贈与税の基礎控除額を除く)を相続財産の価額に足し戻した際の総額が、相続税の基礎控除額を超える場合には相続税が課税されます。
また、受贈者が孫で相続税が課税される場合、孫は相続税額の2割加算の対象となります(代襲相続によって孫が法定相続人になる場合は除く)。
小規模宅地等の特例の対象宅地を贈与すると、暦年課税贈与または相続時精算課税制度を問わず、その宅地等は同特例が使えなくなります。
小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす状況で宅地等を相続した場合、その宅地等の相続税評価額が最大80%減額される特例です。
土地の生前贈与にあたり、贈与者の相続が開始した際に小規模宅地等の特例が適用できる宅地がある場合は、対象となる宅地を贈与すると小規模宅地等の特例が適用できなくなるため、暦年課税贈与や相続時精算課税の活用を含めたところで、税負担額のシミュレーションを行うなどの検討をする必要があります。
小規模宅地等の特例は、「被相続人がどのように宅地等を利用していたのか」により、上限面積・減額割合・要件が異なります。
※いろいろ条件はありますが、自宅の場合は330平米以下で減額80%です。
相続で不動産を取得した場合、発生するコストには、登録免許税がありますが、贈与(固定資産税評価額の2%)に比べると税率(固定資産税評価額の0.4%)が低く抑えられています。また、相続の場合は、不動産取得税もかかりません(遺贈の場合は、贈与と同様に課税されます)。
相続で不動産を取得する場合と比較すると、生前贈与で不動産を取得すると多くのコストがかかってしまうのはデメリットといえるでしょう(暦年課税贈与も同様です)。
相続税には物納という制度があり、手元に現金がなく相続税が支払えない場合に土地や建物を相続していれば、一定の条件の元でその土地や建物で相続税を支払うことができます。
ただし、相続時精算課税制度や暦年課税贈与を利用して土地や建物を贈与した場合、受贈者は、その土地や建物は相続によって得たものではなく、贈与時点で受贈者が所有する財産となります。
たとえ贈与者の相続発生時に納税資金に充てる金銭や預貯金がなくても、贈与を受けた土地や建物などを物納に充てることはできません。
相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた財産の価額は、贈与者の相続が発生するまで長い年月がかかったとしても相続発生時の相続財産の価額に加算することになるのが大きな特徴です。 現行制度では同制度を選択すれば有利になる状況だとしても、将来的に法改正されれば不利になる可能性もあるということです。
例えば、「相続財産が相続税の基礎控除以下の見込みだから」と相続時精算課税制度を利用したものの、相続発生前に相続税の基礎控除が下がるような改正があれば、相続税が発生してしまう可能性もあるのです。
もちろん仮定の話ではありますが、実際に平成25年に行われた税制改正によって、平成27年1月1日以降に発生する相続税の基礎控除額が40%下がっています。
贈与者の相続発生時の相続財産の総額、つまり「相続時精算課税制度を選択した贈与財産+その他の相続財産」の総額が、相続税の基礎控除の範囲内の人は、相続時精算課税制度を使うべきです。
相続税の基礎控除額とは、わかりやすくいうと「相続税が課税されるか否かのボーダーライン」のことで、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算していただけます。 例えば、4人家族で父の相続が発生した場合、法定相続人は3人(配偶者と子2人)となり、相続税の基礎控除額は4,800万円となります。
このケースで「相続時精算課税制度の贈与財産+その他の相続財産」が4,800万円を下回ると予想される場合、相続時精算課税制度を選択して生前贈与をしても、将来的に基礎控除額に係る法改正が行われなければ、相続税は課税されません。
年間110万円を超える贈与をしている人は、相続時精算課税制度の選択を検討しましょう。
暦年課税の場合、年間110万円までの贈与は原則贈与税が非課税となりますが、贈与額が多くなれば税率もアップする超過累進課税のため、贈与税の納税額も大きくなってしまいます。
相続時精算課税制度と暦年課税のどちらがお得なのかシミュレーションしてみると良いでしょう。
賃貸マンションや賃貸アパートなどの収益物件を所有している人も、相続時精算課税制度を選択すれば節税に繋がる可能性があるため、制度の選択を検討してみましょう。
賃貸マンションなどの土地は、相続税の「小規模宅地等の特例」を適用できる「貸付事業用宅地等」に該当します。そのため、相続発生時に要件を満たせば、限度面積200㎡までの宅地等の評価額を50%減額できます。
しかし、収益物件を相続すると、収益物件そのものの評価額だけではなく、毎月得ている収益(賃料収入)も現預金として相続財産に加算されます。相続までの期間が長いと、賃料収入の蓄積により課税対象となる相続財産が増える可能性があります。
相続時精算課税制度を選択して早めに子や孫に収益物件を贈与しておくと、贈与者の相続時に相続税の課税対象として加算されるのは贈与した収益物件(不動産)の価額そのものだけで、その後の家賃収入(現預金)は相続税の課税対象に含める必要がありません。
賃貸マンション、賃貸アパートがある人や、毎月得ている収益が大きい人は、相続時精算課税制度を選択する場合、暦年課税贈与を行う場合、贈与を行わない場合それぞれについてシミュレーションしてみましょう。
贈与者の相続発生時に値上がりしそうな財産がある人は、相続時精算課税制度の選択を検討されると良いでしょう。
例えば…
例えば、親が所有している現在の評価額2,000万円の農地に、将来幹線道路が通る予定があり、なおかつ正式発表されておらず土地の評価額はまだ上がっていないとしましょう。
この農地の評価額が上がる前に子に贈与すれば、現在の評価額が2,000万円ほどの土地なので、相続時精算課税を利用すれば贈与税はかかりません。
そして数年後に幹線道路が無事開通し、土地の評価額が倍の4,000万円に値上がりしても、相続税の計算時には贈与当時の評価額2,000万円のままで相続税が計算されます。
贈与時に評価額が下がっている財産がある人は、相続時精算課税制度の選択を検討されると良いでしょう。
代表的なのは有価証券で、購入当時は4,000万円の評価額であっても、一時的に2,000万円まで評価額が下がっている時に相続時精算課税制度を選択して生前贈与しておけば、相続税の計算時には2,000万円の評価額で計算されます。
ただし、贈与者の相続発生時にさらに評価額が下がっていれば、相続税額が逆に高くなります。
贈与者の相続が発生した際に相続人同士で「遺産の分割方法」で争うことが予想される場合は、相続時精算課税制度を選択すれば、相続トラブルを回避できる可能性があります。
例えば、被相続人が母で、相続人が長男と次男という親子間の相続において、母の遺産は「長男が同居をしていた自宅不動産(2,000万円)」と「預貯金(100万円)」と仮定しましょう。
このケースの場合、仮に兄弟間で均等に母の遺産を分割することが決定すると、母と同居していた長男は、次男と自宅不動産の持分を共有する「共有分割」、もしくは次男の相続分相当の現金を支払う「代償分割」を選択する必要があります。 仮に長男が次男に支払う現金がなければ、不動産を売却して現金を分割する「換価分割」を選択する必要があるため、長男は住む家を失ってしまいます。
通常は、母と長男が同居をしているならば、相続時精算課税制度ではなく、母の相続時に「小規模宅地等の特例」を適用することも考慮しましょう。
ただし、相続財産と贈与財産の合計が相続税の基礎控除の範囲内で、なおかつ不動産の贈与によるコストが発生しても、相続人同士のトラブルを回避するのが一番の目的であれば、相続時精算課税制度や暦年課税贈与によって自宅不動産を贈与されても良いでしょう。
相続時精算課税制度の最大のデメリットは、生前贈与した財産も相続税の対象になるという点です。本制度を利用して贈与した財産の価額は、贈与者が死亡して相続が発生した場合に相続財産に加算して相続税を計算します。したがって、相続財産が多く相続税が課税される可能性がある場合は、相続時精算課税を使うよりは、暦年贈与を続けた方がよいこともあります。
相続時精算課税制度を利用するケースでは、贈与する1,000万円には贈与税がかかりませんが、相続発生後、この1,000万円は相続税の課税対象として加算する必要があります。相続人は子1人であるため、「生前贈与額1,000万円+遺産総額8,000万円-基礎控除3,600万円(3,000万+600万)=5,400万円」に相続税が課税されます。この場合の相続税は920万円となります。(生前贈与が令和6年以降の場合は、「生前贈与額1,000万円-相続時精算課税の基礎控除110万円+遺産総額8,000万円-相続税の基礎控除3,600万円=5,290万円」に相続税が課税され、税額は887万円となります。)
一方、暦年贈与を利用する場合ですが、毎年100万円を10年間かけて贈与すると仮定して考えてみましょう。ここで贈与する額に贈与税はかかりません。相続が発生した場合は、「遺産総額8,000万円-基礎控除3,600万円=4,400万円」に相続税が課税されます。この場合の相続税は680万円となります。
この例では、相続時精算課税を利用するより、長い年月をかけて贈与をコツコツと続けた方が税負担は少なくて済むことがわかります。
(ただし、令和8年までに相続が発生した場合には、過去3年以内の贈与財産について、相続財産に加算した上で、相続税が課税されます。その後、段階的に加算期間が延長され、最終的には過去7年以内の贈与財産まで相続財産に加算されることになりますので、暦年課税との比較をする場合には留意する必要があります。暦年贈与については、「【暦年贈与】やり方と注意点は?贈与税の計算方法も解説!」の記事で、相続時精算課税制度との違いも含め解説していますので、ご参照ください)
これは先に挙げたメリットと逆の話です。贈与した財産が相続時に価値が急落していたり消滅していたりした場合でも贈与時の価額で相続財産に上乗せされます。これにより、生前贈与しなかった場合に比べて相続税の負担が大きくなってしまいます。
例えば相続時精算課税制度を使ってA社の上場株式を2,500万円で贈与したとします。相続時にA社が倒産して価値がゼロ円になっていたとしても2,500万円を相続財産に加算しなければならないのです。
このため相続時精算課税制度を使って時価の変動がある財産を贈与する場合には慎重に検討することが必要です。
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